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スーツケースを選ぶとき、何を見ますか。サイズ、色、値段、ブランド。私は長いあいだ、「重さ」という項目をほとんど見ていませんでした。
気にするようになったのは、軽いスーツケースを実際に持ってからです。逆に言えば、それまでは自分のスーツケースが重いことにすら気づいていませんでした。この記事は、その気づきの話と、同じ失敗を避けるための方法についてです。
安いスーツケースで旅をしていた頃🧳
最初に買ったスーツケースは、とにかく安さで選びました。中に荷物が入ればいい、鍵がかかればいい、それくらいの基準です。
空の状態で持ち上げるとき。国内でも海外でも、駅の階段を上るとき。段差でぐいっと持ち上げるとき。バスや電車の中に置くとき。極めつけは、空港でキャスターを引いているときでさえ——ただ「そういうものだ」と思っていました。重さを比べる基準を、そもそも持っていなかったのです。
当時は「スーツケースとはこういうものだ」と思っていました。重いのは中身のせいで、ケース自体の重さを疑ったことは一度もなかったのです。
ゼロハリバートンに替えて、初めて分かったこと
買い替えたのは、ゼロハリバートンの「Zero Air Collection II(22インチ)」というポリカーボネート製の軽量モデルでした。

持ち上げた瞬間の感想は、いまでも覚えています。「え、こんなに違うの」
空の状態で持ち上げた瞬間から、もう違いました。駅の階段、段差、バスや電車に置くとき。極めつけは、空港でキャスターを引いているときでさえ、はっきりと軽さを感じたことです。旅のあいだ、スーツケースを「持ち上げる・動かす」場面は思っている以上に多い。その一回ごとの負担が、明確に軽くなりました。
軽いは正義。そう思いました。

そして同時に、こうも思いました。これまで自分は、何を基準に「重い・軽い」を判断していたんだろう。
調べて分かった。私のスーツケースは、実は優等生だった
この記事を書くにあたって、同じくらいの容量帯のスーツケースの重さを調べてみました。その結果、意外な事実が分かりました。
| モデル | 容量 | 重量 | 1Lあたり |
|---|---|---|---|
| リモワ サルサエアー | 33L | 1.9kg | 約58g |
| リモワ エッセンシャルライト | 37L | 2.2kg | 約59g |
| ゼロハリバートン Zero Air Collection II(22インチ/私のもの・廃番) | 43L | 2.6kg | 約60g |
| ゼロハリバートン ZRP-ZX(現行) | 32L | 2.9kg | 約91g |
| ゼロハリバートン Classic Lightweight 4.0(現行) | 37L | 3.5kg | 約95g |
| グローブ・トロッター サファリ | 34L | 4.2kg | 約124g |
私が「軽い!」と感動したケースは、こうして並べてみると上から3番目。しかも6つの中でいちばん容量が大きいのに、です。
いちばん軽いのはリモワのサルサエアー。33Lで1.9kgです。私のもの(43L)より10Lも小さいのに、それでも0.7kg軽い。単純比較はできませんが、「軽量」の基準がブランドによってここまで違うのかと驚きました。
そしてもっと驚いたのは、同じゼロハリバートンの現行モデルと比べたときです。ZRP-ZXは32Lで2.9kg、Classic Lightweight 4.0は37Lで3.5kg。どちらも、私の43L・2.6kgより重いんです。容量はうちの方が大きいのに。
私が2015年に買った一台は、当時としても今の基準で見ても、なかなか優秀だった。ゼロハリバートンの中でも「軽さ」を突き詰めたラインだったということです。ただし、それでもリモワにはかないません。
0.7kgというのは、ペットボトル1本半ほど。たいしたことないように聞こえますが、それを空港の階段で持ち上げ、石畳を引きずり、電車に載せるのが旅です。効いてこないわけがありません。
軽さだけでは決められない。容量とのバランス
ここまで重さの話ばかりしてきましたが、ひとつ言い添えておきたいことがあります。軽さだけで選ぶのも、それはそれで危ないということです。
容量が足りなければ、そもそも荷物が入りません。フタが閉まらない、お土産が積めない、結局サブバッグを提げて歩くことになる。それでは軽いケースを選んだ意味が薄れてしまいます。
そこで、さきほどの表の右端に「1Lあたり」の重さも参考にしてください。容量と重さを一本の物差しで見るための数字です。
こうして見ると、上の3つはほぼ横並びだと分かります。約58g、約59g、約60g。サルサエアーの1.9kgはたしかに魅力的ですが、その軽さは容量を削って得たものでもあります。効率という意味では、3台の実力はほとんど変わりません。
差がはっきり出るのは下の3つです。1Lあたり約91g〜124g。上位グループの1.5倍から2倍以上あります。同じくらいの容量帯でも、ケース自体が背負っている重さがまるで違うわけです。
※容量の表記はメーカーによって測り方が違うので、厳密な比較ではありません。あくまで目安として見てください。
そして厄介なのは、ちょうどいいバランスが人によって違うことです。3泊で身軽に動きたい人と、1週間分の着替えにお土産まで詰め込みたい人とでは、答えが変わります。私は43Lでちょうどよかったけれど、それは私の荷物量の話でしかありません。
では、何リットルを選べばいいのか
よく言われる目安に、1泊あたり10Lという考え方があります。ただ実際に旅をしてみると、もう少し余裕があるというのが私の実感です。
| 泊数の目安 | 容量 | サイズ表記 |
|---|---|---|
| 1〜3泊 | 〜40L | Sサイズ |
| 3〜7泊 | 40〜69L | Mサイズ |
| 7〜10泊 | 70〜89L | Lサイズ |
| 10泊以上 | 90L〜 | LLサイズ |
私の感覚では、詰め方しだいで50Lあれば1週間はいけます。お土産をどれだけ買うか、洗濯をするかしないか、かさばる上着が要る季節か。旅のやり方でずいぶん変わるので、あくまで目安として見てください。
迷ったら、まずMサイズ(40〜69L)を基準に考えて、そこから一段上げるか下げるかで考えると分かりやすいと思います。身軽に動きたいなら一段下、長期やお土産重視なら一段上。
ちなみに私の43Lは、この区分だとMサイズの入口にあたります。そしてもうひとつ、正直に書いておかなければいけないことがあります。私のケースは機内持ち込みができません。キャスターとハンドルを含めた総外寸が3辺合計129cmあり、機内持ち込みの上限115cmを超えているからです。
「軽い」と「機内に持ち込める」は、まったく別の話です。空港のゲージはキャスターやハンドルも含めた実寸で測りますし、商品ページに載っている寸法は本体だけの数字であることが多い。持ち込むつもりで選ぶなら、総外寸で115cm以内かどうかを必ず確かめてください。
なぜ、数字を見ただけでは分からないのか
ここが、いちばん伝えたいところです。
「2.6kgと1.9kg」と数字で並べても、たぶんピンとこないと思います。私も、こうして表を作るまで実感がありませんでした。重さの違いは、持ってみて初めて身体で分かる種類の情報なんです。
そして厄介なことに、スーツケースは店頭で少し持ち上げても分かりません。荷物を詰めて、空港を歩いて、階段を上って、ようやく差が出る。買ってから気づくのでは遅いのです。

私は、それを高い授業料を払って学びました。安いのを買って、しばらく苦労して、買い替えて、ようやく気づいた。しかもその「気づき」ですら、上には上がいたわけです。
「借りて試す」という選択肢
もし過去に戻れるなら、私は買う前に何台か借りて比べてみたいと思います。
スーツケースにはレンタルという仕組みがあります。旅行の数日間だけ借りて、実際に荷物を詰めて、空港まで運んでみる。それだけで「自分にとって何kgが快適なのか」という基準が手に入ります。
調べていて「これはよくできているな」と思ったのが、気に入ったらそのまま買える「試して購入」という仕組みがあることでした。試着してから服を買うのと同じことが、スーツケースでもできるわけです。
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正直に言うと、私が借りたいのはこれです✈️
ここまで「軽さが大事」と書いてきて、こんなことを言うのもどうかと思うのですが。
私がいちばん使ってみたいのは、グローブ・トロッターです。
空港のショップで実物を見て、一目惚れしました。1897年創業の英国ブランド。ヴァルカン・ファイバーのボディを縁取る革のベルトと、真鍮の金具。装飾のひとつひとつに意味があって、それが少しも過剰に見えない。気品と風格の塊、としか言いようがありませんでした。旅の道具というより、旅の相棒という佇まいです。
そして重さは——34Lで4.2kg。この記事に出てきた中で、いちばん重い。
矛盾しています。分かっています。でも、これが本音です。
実用の基準と、憧れは別物なんだと思います。毎回の旅で使うなら軽いほうがいい。でも、一生に何度かの特別な旅で、あのケースと一緒に空港を歩けたら——そう考えるとワクワクしてしまう。
だからこそ、レンタルなのだと思います。何十万円も出して買うには覚悟がいるけれど、旅の数日間だけなら、その贅沢に手が届く。そしてもし本当に手放せなくなったら、そのとき買えばいい。
| モデル | 2日間のレンタル料 |
|---|---|
| グローブ・トロッター サファリ 34L | 18,180円 |
| リモワ クラシックフライト 35L | 9,900円 |
| リモワ サルサエアー 33L | 5,850円 |
| ゼロハリバートン ゼロエアー 31L | 4,500円 |
グローブ・トロッターは在庫が2点しかないようなので、狙うなら早めの予約が要りそうです。
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現実的な一押しは、やっぱりゼロハリバートン
憧れの話をしたので、現実の話も。
実際に使ってきた立場で言うと、耐久性・デザイン・価格のバランスでゼロハリバートンを推します。私のものは2015年から使い続けて、もう11年になります。この間に手を入れたのは、キャスターの交換一回だけ。壊れて買い替えたわけではなく、メンテナンスをしながら使い続けています。値段は決して安くありませんが、長く使えることを考えると納得できる買い物でした。
写真を見ていただくと分かるとおり、表面は傷だらけです。預け入れのたびに擦れて、ステッカーの跡も残っています。正直、きれいとは言えません。


ジッパーも生きているし、ハンドルもガタついていない。壊れたのは11年でキャスターだけで、それも部品を交換すれば直る程度のこと。傷は見た目の問題であって、旅を止めるような故障とは無縁でした。直しながら、同じ一台と旅を重ねていく。傷だらけのスーツケースを見ていると、不思議と愛着が湧いてきます。これも、耐久性がもたらしてくれたものだと思っています。
ただ、ひとつ残念なお知らせがあります。私が使っているZero Air Collection II(22インチ)は、もう作られていません。
現在の定番はClassic Lightweight 4.0(37Lで3.5kg)と、価格を抑えたZRP-ZX(32Lで2.9kg)です。先ほど書いたとおり、むしろ私のものより重いくらいです。
体験としてお伝えできるのは、11年前に買った一台の使用感です。
11年前に買った一台が、いまも現役なだけでなく現行モデルより軽いままだという事実は、ブランドを選ぶときの材料にはなると思います。軽いは正義。ただし、長く使えることも同じくらい大切です。
そしてもうひとつ、お伝えしたいことがあります。私が使っているのと同じ「ゼロエアー」のラインは、レンタルで借りることができます。
買うとなると勇気がいる価格帯ですし、私自身、現行モデルは持っていません。それならまず借りて、質感と重さを自分の手で確かめてみる。この記事でお伝えしたかったことを、そのまま試せる方法だと思います。
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まとめ:重さは、持ってみないと分からない
- スーツケース選びで「重さ」は見落とされがちだが、旅の快適さを大きく左右する
- 同じ容量帯でも1.9kg〜4.2kgと倍以上の差がある
- その差は数字では実感できない。荷物を詰めて歩いて、初めて分かる
- だから買う前に借りて試すのは、遠回りに見えて確実な方法
- そして、憧れのブランドを旅の数日だけ味わうという使い方もある
私は買ってから気づきました。この記事を読んだ方は、持ってから決められます。それだけでも書いた甲斐があります。
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旅のデータ
- 私が使っているスーツケース:ZERO HALLIBURTON Zero Air Collection II(22インチ)(ポリカーボネート製・現在は廃番)
- 容量:約43L
- 重量:約2.6kg(5.8lbs)
- サイズ:本体約H55×W41×D25cm/キャスター・ハンドル込み総外寸 約H61×W43×D25cm
- 機内持ち込み:不可(総外寸3辺合計129cm。機内持ち込みの上限は115cm)
- 買い替え前:安さで選んだスーツケース(重さは気にしていなかった)
- 気づいたこと:ケース自体の重さは、持ち上げる場面の多さで効いてくる