「ここは本当に、ホテルなの……?」 目の前に広がるのは、壁面を覆い尽くす緑の蔓、ジャングルの中に浮かぶ回廊、そして地平線まで続くような水平線のプール。スリランカが誇る世界的建築家・ジェフリー・バワが手がけた「ヘリタンス・カンダラマ」。人工物と自然の境界線が、ここではどこか曖昧になっている。ゆっくりと、その空間に身を委ねてみました✨
youtube ヘリタンス・カンダラマ1 ヘリタンス・カンダラマ2
建築家・ジェフリー・バワという人
ジェフリー・バワ(1919〜2003)は、スリランカ出身の世界的な建築家です。「トロピカル・モダニズム」の先駆者とも呼ばれ、その哲学はシンプル。自然を排除するのではなく、建築の中に自然を「招き入れる」こと。
風が抜けるよう設計された廊下、意図的に植物が侵食するように設けられた隙間、岩盤をそのまま床や壁に使ったホテル……バワの建物に入ると、「ここまでが建物で、ここからが自然」という境界線が、不思議なほどわからなくなる。それが彼の仕掛けです。「ヘリタンス・カンダラマ」は、そのバワ哲学が最も色濃く表れた傑作のひとつと言われています。

Day 2 ― ⑬ アプローチだけで「ここはすごい場所だ」とわかる
ホテルへの道は、ジャングルの中を縫う細い車道を進みます。窓の外には鬱蒼とした緑が続き、本当にここにホテルがあるの……?とちょっと不安になるくらい。でも、その不安を感じさせてくれること自体が、もうバワの演出のひとつだったのかもしれません。

ホテルの看板を見つけたけど、この建物では・・・ないですね

木々の隙間から、輪郭が見えてきた瞬間、「あ、あれだっ!」と直感的にわかりました✨岩と建物が、一体化している。アプローチだけで、「普通のホテルではない」という予感が確信に変わりました。

Day 2 ― ⑭ エントランスへ「これ、どこからが建物?」
エントランスに足を踏み入れた瞬間、少し言葉を失いました・・・。あちこちに自然が侵食している。床には岩がそのまま残されていて、まるで岩山の中を歩いているような感覚が続きます。外壁に蔦が絡まっている・・・「ここはホテルなの?それともジャングルなの?」という感覚に陥ります。


でも、不思議と「古い」とは感じない。むしろ、設計された美しさと自然が共存している。バワは意図的に、植物が建物を侵食する余地を設計段階から残していたといいます。その覚悟と美意識に、静かに圧倒されます。



Day 2 ― ⑮ 細部に宿る、バワのこだわり
バワ建築の魅力は、「大きな景色」だけではありません。歩くたびに、細部のこだわりに気づきます。
たとえば、階段の形、柱の形、手すりの素材感、床のタイル、照明の角度。それぞれの空間に固有の「表情」があって、歩くだけでいくつもの異なる空気感を感じられます。「何時間でもここを歩いていられるな……」と思いながら、ゆっくりと館内を巡りました。ホテルが開催している館内ツアーはぜひ参加してもらいたいです。フロントで受付しています。




Day 2 ― ⑯ 自然が「乱入」する廊下を歩く
廊下は外気に開かれている。風が吹き抜け、植物の匂いがする。外との境界に窓ガラスがないため、ときに鳥が迷い込み、サルが欄干を歩いていることもあります。「それを排除しない」というのが、このホテルのスタンス。
外を歩いているのか、建物の中にいるのか。廊下を歩きながら、そんな感覚がずっと続きます。湿気を帯びた熱帯の空気と、岩石の冷たさが交互に足元を包む。この場所が「建築と自然の境界線」にあることを、歩くたびに体で感じます。





Day 2 ― ⑰ インフィニティープール「終わりのない水面」の向こうに
そして、このホテルで最も有名な場所へ。
インフィニティープール。カンダラマ湖を眼下に望む崖の縁に設けられたプールは、水面の先に湖が、そして水平線が広がっています。プールの端に立つと、どこまでが水でどこからが空なのか、境界が消えていくような錯覚を覚えます。これもまた、バワが意図的に設計した「終わりのない景色」。


プールサイドのチェアに腰を下ろして、ただ湖を眺める。鳥の鳴き声だけが聞こえる静寂の中、時間がゆっくりと流れていきます。早朝の登山から始まり、ビレッジツアーを経て、ここに辿り着いた。なんて濃い一日だろう、と思いながら、水面に映る空を眺めていました。



Day 2 ― ⑱ 眺望と静寂。ここでしか味わえない時間
カンダラマ湖を望む展望エリアは、何度訪れても飽きないと言います。湖面の色は時間帯によって変わり、雲の動きで光の表情も変わる。スリランカの自然は、一秒一秒が違う顔を見せてくれます。


バワと同じ場所で同じ視点に立つと一体どんな景色が見えるのか

バワ建築の凄さは、「自然に勝とうとしていない」ところにあるかもしれません。自然の前では、人工物はいつも脇役。それを知っていたバワは、建築を自然に「寄り添わせる」ことで、どんな絶景写真よりも美しい「体験」を設計しました。

「また来たい」と思わせる場所
帰り際、エントランスをもう一度だけ振り返りました。植物が覆う壁、岩がむき出しの床、自然に向かって開かれた空間。「普通のホテル」とは全く違う感覚が、ここにはある。
ヘリタンス・カンダラマは、宿泊するだけが目的じゃない。バワが設計した「体験」をゆっくりと味わう場所。次にスリランカに来ることがあれば、今度は2泊、3泊と連泊してみたい。そう思わせてくれた、とても特別な空間でした✨




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旅のデータ
ホテル: ヘリタンス・カンダラマ 「Heritance Kandalama」
宿泊予約: booking.com
移動:スリランカタクシーサービス ガイド:パシさん(日本語対応可)